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2006年6月19日 (月)

第2章 HOLIDAY 第1話

姫音が再び通学するようになってもぅ一年が過ぎた。もぅすぐ9月なのに、暑さはしぶとく残っている。

この一年で僕らは正式に恋人になって、結婚を前提に・・・とまではいかないけれど家族ぐるみの付き合いをするようになっていた。

姫音は時間と共に順調な回復を見せ、今では月に1度病院にいくだけでいいようになった。抗がん剤の副作用で抜け落ちてしまった髪も今では肩までかかるくらいまで伸びた。

笑顔も前みたいに輝いきだした。


朝、カーテンの隙間から差し込むまぶしい光で目を覚ました。

晴れ渡った空には雲ひとつなく、僕はいそいそと階下に降り身支度を整えて元気に家を出た。

大学も3回生になって、僕は最近やっとバイトを始めた。

家の近所のラーメン屋で、夜から深夜の時間帯だけ僕は働いている。

バイトを始めた理由は、もちろん姫音とのデート代目的がほとんどだけど、僕は車を買おうと思っていた。

姫音はまだ激しい運動ができない。歩くのがやっとの姫音に楽をさせてあげたかった。

そんな理由で僕は、週に5日もバイトに入っている。決して楽ではないけれど、姫音のためなら僕は頑張れた。

そして今日は土曜日。学校もないし、バイトは夜からなので、僕は姫音に会いに行くことにした。



        土曜の朝の道  文句無いほど晴れて 

        このままゆけば あと10分で君の家に着くかな?

        やっと待ってたHOLIDAY 夜はバイトあるけど 

        今日は朝からすべて忘れて二人で昼寝しようか



僕は姫音の家までいつも歩くことにしている。特に理由は無いけど、なんとなくウキウキした気分を長く味わいたかった。

15分かけて僕は姫音の住んでいるマンション到着する。

このマンションは15階建てのこの辺りではとても大きなマンションで、僕はいつも最上階を見上げて、なんだか押しつぶされそうな気になりながら早足でマンションに入っていく。

姫音は7階に住んでいる。

エレベーターで7階まで上がって、目の前にあるのが姫音の家だ。

時間は10時ちょっと過ぎ。僕は時計をみてうなずくと、チャイムを押した。

なんだか待っていたように、すぐにドアが開いて姫音のお母さんが中から顔を出す。

「おはようございます」

僕はいつものように笑顔で挨拶をする。

「いつも来てもらうばっかりで悪いわねぇ」

「いえ、こっちもいつもお邪魔させてもらってすみません。それに姫音がうちにくることになったら僕は心配で待ってられませんから」

僕は冗談っぽく言う。

姫音のお母さんは微笑んで、どうぞという風にドアを開けてくれる。

「おじゃまします」

僕がそういうと、奥から

「お、来たか。今日は3分遅刻だな」

と姫音のお父さんがからかう。すると横で姫音が

「そんなことばっかり言って、ホントに怒るよ?」

と、不機嫌そうな声で言う。

「すまんすまん」と姫音のお父さんは新聞に目を戻す。

いつもの通りだ。僕はこのやりとりがなんだかとても好きだった。

姫音が奥から歩いてきて、これもまたいつもの通り

「よごれてるけど、どうぞ」と少しはずかしそうに部屋に案内してくれる。


そんな毎回のことが、僕にはとても癒される光景なんだ。

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コメント

祝☆第2章★★
なんか幸せそぉな感じでいいですね♪

投稿: みお | 2006年6月19日 (月) 19時39分

HOLIDAYや・・・w
平和やなぁ

投稿: TAICHI | 2006年6月19日 (月) 20時36分

幸せにしすぎて作者、これからどうしようか・・・と迷っておりますwww
つか、幸せすぎ!!不幸せにしてやろうかぁぁ!!ヶヶヶ((´∀`))ヶヶヶ
お前らの運命は俺が握っていることを忘れるなよw

投稿: TOSHI | 2006年6月20日 (火) 05時36分

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